養液栽培とは、ベンチアップされたヤシ殻などからなる培地に植物を定植、養液を与える事で成り立つ栽培方法です。
植物に必要な水分、温湿度、太陽光などを制御する事により、トマトのうまみを引き出す環境を作り出すことができます。
点滴チューブを用いて、トマトに必要な栄養素をバランス良く含んだ養液を少しずつ与えていきます。
環境の変化に敏感なトマトの根から成長点まで丁寧に管理する事により、周年栽培を可能にしています。
水、空気、光は健康な野菜作りに欠かせません。限られた資源をより有効に活用すべく、
室内環境に合わせて潅水量や養液濃度を調節したり、
葉っぱに太陽光が満遍なく当たるように樹を一本ずつ、高さを合わせながら誘引したり、葉を欠いたりなどして調整します。
更には気温や湿度によって換気をしたり、太陽光の強弱によりカーテンで保護をし、トマトが長期(約10ヶ月)にかけて生育できるよう環境を保持すべく、様々な管理ポイントがあります。
トマトも人間と同じように呼吸をし、ご飯を食べて生きています。
食べ過ぎて太ってしまったり、反対に痩せてしまったりしても長期的にトマトを実らせる事ができません。
養液に配合する栄養素も多ければ良いわけでもなく、バランスが崩れると拮抗作用を起こすなどして生理障害を生んでしまいます。
トマトにも一本一本に個性があります。
根から成長点までしっかり見守りながら、病気の予防、治癒、そして植物の代謝改善を促しています。
トマトの花粉を集めているクロマルハナバチの様子です。
こうして彼らは知らず知らずのうちに、人間が行うにはとても大変な受粉作業を手伝ってくれています。
クロマルハナバチは自身の脚に、集めた花粉を綺麗なボール状にまとめ上げて巣へ持ち帰ります。
花粉が取られた後、花にはバイトマークと呼ばれるクロマルハナバチが花粉を集める際、
体制を維持するために噛み付いた跡が残ります。
生産者はこの僅かなマークを日々観察しながら、クロマルハナバチがしっかり働いてくれているかを確認しています。
栽培環境によっては花粉の出が悪くなってしまったり、様々な要因でハチが活動しにくくなる事があります。
すると受粉がうまくいかずに不着果が起き、トマトが作られなくなるだけでなく、樹の生育バランスが崩れてしまうのです。
そうなる前に、生産者は花の質を良くするために様々な技術でフォローしていきます。
人間には全く無関心と言えるほど、温厚で可愛らしいクロマルハナバチですが、農園には欠かせない大切な仲間です。